日本人はなぜ環境問題にだまされるのか
まだまだ環境系が続きます。
環境問題について日本人は騙されやすい、という論調の本ですが、騙されやすいというよりは「真実(裏付けとなるデータ)がしっかりと世の中(メディア)に提示されていない」という表現が正しいのでしょう、きっと。
また、仮に客観的な数値があったとしても、その切り取り方や比較の仕方によっては、違った印象を与えてしまう事もあります。環境問題は特にそうした問題を孕んでいる気がします。情報操作と言っても良いかもしれませんが、そこに国ごとの利権や、科学者の研究費(≒生活費)の確保の文脈が絡んできて複雑怪奇な世界を織りなしています。
上記の図は、武田先生いわくの「気温上昇とCO2濃度は必ずしも相関しない」という根拠となる図です。書籍内では1900年~1970年の期間なので、上記よりは更に狭い切り取り方になりますが。確かに、相関があるとは言い難いかもしれません。
こちらはCO2濃度と海面水温の関係図。現状の世論としてある、「CO2濃度が高まったから世界の温度が上がっている」という件について、それとは逆に、「気温(海水温)が上がる事でCO2濃度が上がっている」という説を後押しするものです。確かに上記の図からはそうした関係性が見て取れそうに感じます。
こちらはNHKの報道に異議を唱えるものとして出されていた図です。2007年の上記のIPCC第4次報告から、「2100年に1.8~4.0度の気温上昇が可能性として予測される」というデータですが、NHKは何故かここから拡大解釈(?)し、「2100年に最大で6.4度の気温上昇」という煽り記事を出したとのことです。確かに、報道の仕方次第で、かなり違った印象を与えてしまいます。
こちらは京都議定書の問題について。タイトルが「なぜ日本人は~」となっている通り、上記を見ると、日本人がいかに世界の環境問題でハズレくじを引いているかが一目瞭然です。削減義務を負っているのは何故か日本のみ、というおかしな構図になっています。
日本人は環境問題になると感傷的な意見が多いようですが、例えば環境問題についてヨーロッパの現地の方々にアンケートを取ると、「温暖化がなぜ問題なのか?それは政治問題だからです。」と答えるそうです。面白い結果です。日本人だったら、「環境を守るためにCO2を減らさなくては」となるでしょうが、ヨーロッパ系の人々は政治的な視点で見ているようなのです。
こちらは先進国でのGDP比較でのエネルギー消費量。
こちらは一人あたりでのCO2排出量について。
上記の数値をそれぞれどう捉えるかはいくつかの軸があるかと思いますが、大切なことは、上記のような客観的な数値をまずは認識した上で、大局的な見地も含め、少なくとも3~4方向からそのデータを捉える視点を持つこと、でしょうか。ありきたりな着地かもしれませんが。世の中のデータは、大抵は誰かしら(メディア)のフィルターを通しているものなので、恣意性が必ず入ります。それを理解した上でどうフィルターに掛け直すかが、環境問題に向き合う上では重要なのでしょう。
0コメント