投資家がお金よりも大切にしていること

投資に関して、また、お金との付き合い方に関して、ちゃんと向き合いたいな、と感じる事も多く、本書を読むに至りました。藤野さんの投資哲学が学べて、とてもためになる書籍だと思います。

■日本人はお金が大好き

本書で引用されている図のリンク元がErrorになってしまっているため、以下は、三菱UFJ国際投信の投信調査コラムを代わりに引用している。G7の中でも、日本は現預金の比率が50%以上と非常に多い、という事を表している図。

■寄付の文化

こちらも引用されているデータが見つからず、2016年の幻冬舎の記事を元に以下のキャプチャを代わりに引用。2016年のものなので、この7年間で大幅に変わった可能性もあるものの、大枠としては結論は変わらず、「日本人は寄付をしない国民文化である」という点。

https://gentosha-go.com/articles/-/15786

■投資信託

保有年数に関する数値が出ています。日本人は保有しているものを「すぐに売る」傾向にあるようで、お金に執着しているがゆえの行動だ、との指摘がある。日本人の保有年数は2.4年であるが、一般的には20~30年ほど持つべきものだ、と。


■消費者としての責任

バスの運転手の過労による運転事故や、ブラック労働による自殺問題など、我々は表面だけをとって責める事が多い。が、実際は、我々が消費者としてそういったサービスを求めいている(安いサービスを欲している)という時点で、消費者も加担しているのだと。111ページでも後述されるように、重要なのは、消費者が何を考えてその消費行動を選択したのかを意識すべきだ、と。


■エネルギーの8要素

人間は時間に対して「エネルギーを投入している」わけで、そのエネルギーは以下の8つに分類することが出来る。

情熱、行動、時間、回数、知恵、体力、お金、運

お金は一つの要素に過ぎず、それが全てではない。エネルギーをいかに何に注ぐのか、ということをしっかりと意識することが大切である。


■失われた20年

非常にセンセーショナルな表現ですが、失っていない、という点に対する言及。

2002/12から2012/12の10年間でTOPIXの株価は2%程度の上昇

しかし、TOPIX CORE30は24%も下落

一方で、東証二部の株価は10年間で67%プラスである

東証一部の会社数では、66%の会社の株は上昇している

要するに、東証一部の大企業が駄目なのだ、と。株価の上がっている元気のある中小企業は70%あり、年平均で7%成長しているため、10年で倍になっている、と。

また、日本の経団連に関しては、会長1人と副会長18名がおり、錚々たる大企業が名を連ねているが、10年で株価が上がったのは6社のみ。自分の無能さを世間にさらすのは憚られるため、失「われた」と表現し拡散させざるを得なかったのだ、と。



以上、藤野さんご自身がれっきとしたキャリアをお持ちで、かつ、第一線で活躍されている中で、このように名指して企業名なども提示し、更に、本書が何十版も増刷されている事を考えると、参考に出来る点は非常に多いのではないか、と感じます。

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