日本人が知らない恐るべき真実 増補版

こちらの本を読みました。

敢えて「日本人」に限定する必要も無いとは思いますが、世界で起きている不条理(?)について、普段の生活では絶対に気づけないような視点に溢れていて読み応えありました。

今後、途上国経済などに関わる上でIMF/世界銀行は避けて通れない2大組織ですが、その裏側の意図が何に基づいて動いている組織なのか、分かりやすい表現でした。


■IMF/世界銀行の融資に対する構造調整プログラム

1.緊縮財政(医療/教育/福祉/保険…etc)

2.付加価値税などの増税

3.公的企業の民営化(教育/医療機関)

4.外貨獲得産業の促進(カカオ/コーヒー/油ヤシ等のモノカルチャー化)

5.高金利/通貨切下げ

6.各種規制緩和を始めとした金融/投資/貿易の自由化


貧困国への支援/融資など、正義の象徴のようなイメージのある組織ですが、実はその裏では自分たちの利益ベースに基づいた融資行動をとっていたとのこと。何が真実か定かではありませんが、こうした穿った見方も常に持っておく事は大事だな、と。

また、最近ではこうした借金づけの途上国の債務を見える化させる動きもあるようですが、「これって自分たちの首を締める(援助でズブズブにしていた構造を失う)行動になるのでは?」とも思いましたが、それだけ中国の存在感(一帯一路)が大きすぎて、こうした対策を取らざるを得ない状況なのかもしれません。

データは少し古いですが、貸付金額を既に返済額が追い抜いており、文字とおり借金で首がまわらない状態になっている(今後更に酷くなる)のが今の途上国の現状なのだ、と。債務国側が自国の経営権を失うことに危機感を覚えますが、特に以下のような構造が問題である、と指摘されています。

・自国民が食べる食糧をつくるのもやめさせ外貨が稼げる換金作物をつくらせ、外国に売り借金返済させる

・通貨価値を下げ、輸出増/輸入減で貿易黒字にし、その黒字で借金返済させる

・規制緩和して多国籍企業が参入しやすい環境を整える



また、対岸の火事として静観ばかりもしていられない事として、日本が破産し、仮IMFの管理下に置かれてしまう場合、という仮説の元に出された条件も記載されていました。

1.公務員数/給与30%カット、ボーナス全カット

2.公務員退職金100%カット

3.年金30%カット

4.国債利払いを5~10年停止

5.消費税20%へ引き上げ

6.課税最低限引き下げ(年収100万円以上から徴税)

7.資産税を導入

8.1000万円以上のペイオフ→預金額の30~40%を没収


日本国民からしたら許し難い事かもしれませんが、現実問題として起こり得る図式かもしれません。

こちらはIMFへの出資比率の推移に関する表。

第14次増資発効によって、出資総額は約2,400億SDRから約4,800億SDRに増加(*1SDR=$1.4)しているようです。中国などのBRICsの台頭が目立ちますが、日米は引き続きポジションはほぼ変わらず、と言った状況のようです。

・主要な決定は85%以上の得票が必要(単独で15%以上の米国は事実上の否決権)

・先進国の出資比率が2/3

・中国が6位から3位に浮上(BRICsの伸び)

・日米欧などの先進国から6%分の出資比率が新興国に移る

中国の発言権が圧倒的に高まるので、2010年に決定自体はされていましたが、米国が調印するのを渋って2016年まで発効に至っていなかったようです。



このように、先進国⇔途上国のグローバルな図式や、世界経済の歴史・変遷などを中心に、普段の生活ではなかなか気づけ無い情報や見方が随所に散りばめられており、非常に勉強になりました。一方で、これらの情報の反対意見や詳細情報など、更に自分の中で調べて消化していかないと偏った意見だけになっちゃうな、という今後への自戒も込めておきます。

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