環境問題はなぜウソがまかり通るのか
環境問題の真相について語る書籍が多い武田先生の書籍で、シリーズ3作品のうちの1作目を読了しました。環境問題というものにそれなりに向き合うようになって、色々な問題を多角的に見るようにクセが付いて来た気がしますが、武田さんの本は興味深い指摘が多いです。
■ペットボトルリサイクル状況
ペットボトルの分別のカルチャーが広まった事で、再利用率はどんどん高まっているのかと思いきや、そんな事は全然無いよ、という図。ペットボトルの販売量と分別回収量は平行線となっている。
15年も前のデータだが、年間ペットボトル販売量は12万トン→50万トンに増え、日本人一人当たりの使用量は8日/500ml→2日/500mlと4倍の速度で消費している。
■ペットボトルと石油の関連
例えば、1本のペットボトルを創るのに2倍の石油が必要となっている。が、1本のペットボトルをリサイクルするためには3.5倍の石油が必要らしい。平成16年度に50万トンに伸びたペットボトルは、作るのにまず100万トンの石油を使う。分別回収された25万トンをリサイクルするためには3.5倍の87.5万トンの石油を使う。残りの25万トンは捨てるため運搬施設などで2万トンを使う。合計で187.5万トンの石油が使用されている。
ここで再利用できたペットボトルはたったの3万トン。
■ペットボトル回収率の国際比較
ヨーロッパと同じくらいの割合からスタートした日本は、群を抜いて回収率が飛躍的に伸びているように見える。リサイクルの優等生とみられるが、実際はそうではない。
定義の問題だが、日本では「分別回収したペットボトルやプラスチックは焼却してもリサイクル分類する」としている。リサイクルされていないのに、リサイクル回収率としてカウントする、というとんでもない事象が起こっている。
■リサイクルとお金の流れの関係
1.リサイクルと言わないとお金が来ない
2.法律まで作り、国民を巻き込み、今更ダメだったとは言えない
3.業者に渡しさえすれば、その後捨てられても産業廃棄物となるので役所責任を回避できる
■プラスチックの生産量と回収量
日本では430万トンのプラスチック容器を包装に使っているが、回収されるのは10%、その中でしっかりとリサイクルされるのは更に10%、そのため最終的にリサイクルされるのは全体の1%でしかない。
ここには利権が絡んでおり、リサイクルという名の下に約1兆円強の税金が使われ、この利権に絡む国や自治体に流れているという。
■リサイクルの定量的なデータ
石油は日本へ2.5億トン/年が輸入、ほとんどは燃料として消費される。自動車で33%、産業で15%、航空機で2%、ここまでで半分となる。
ペットボトルに使う石油は26万トンだったが、輸入石油2.5億トンの0.1%、そのうち1%しか実際にリサイクル出来ていない訳だから、0.001%だけとなる。
■新聞の温暖化記事数
1984年の朝日新聞の「地球温暖化」「海水面上昇」という架空報道以来、記事数はどんどん増え、京都議定書の締結され拡散され始めた1996年あたりから飛躍的に増えている。
■京都議定書
目的は「1990年のCO2の基準を平均として6%削減する」というもの。
1.地球温暖化には太陽活動、地軸の傾き、人間の出す温暖化ガスなども要因としてあるが、仮に温暖化ガスの影響率が60%とする。
2.温暖化ガスのうちCO2の寄与率を60%とする
3.先進国のCO2量は約60%である
4.国際条約は60%以上の批准が効力を持つのに必要とされている
5.数値目標は1990年の6%削減
これを全て掛け合わせると、0.77%。仮に京都議定書が守られた場合でも、1度気温が上がるとされていたのが、0.993度上がるのに抑えられる、というだけである。
■食糧問題
日本の食料自給率は約40%、ここにビニールハウスや化学肥料なんかの石油が使えなくなった場合、自給率は更に25%まで落ちる。
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