新ビジョン2050

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東京大学の出身から、東大工学部長、東大総長、三菱総研理事長という錚々たるポジションを経て、プラチナ社会の実現を提唱する小宮山さんの著書。筆者いわく、プラチナ社会の定義は10項目以上あるが、つまるところ、QOLの高い個人の生活を充足し、SDGsを社会として達成するための指針を定めたもののようである。


■一人あたりGDP、平均寿命、CO2濃度

よくありがちな図ではあるが、本書の冒頭で引用されている図が顕著な数字を表している。いわゆるホッケースティック曲線のような形で、1850~1900年あたりで大きく増加。

例えば、1000年頃の一人あたりGDPは$5GK、2015年では$75GKほど。平均寿命は25歳くらいだが、2015年では70歳ほど。CO2濃度も280ppmほどだったものが400ppm以上となる。もちろん、諸説あり一概にこの図を取り出して論ずるのは短絡的なものの、ファクトとしてこの数字の推移を大局的に見るのは重要。


■日本の鉄の貯蓄量と蓄増分

日本鉄源協会のデータから導かれた図が引用されており、日本国内の総蓄積量は増加の一途を辿っている。2010年頃には15億トンほどとなっており、年間ごとの増加分は5~10万トンほどに落ち込んでいる。

つまり、鉄の増加は現在はほぼ無く、人工物の既に使われている鉄材の解体などから再利用に回されている。これは、国内だけで言えば、既に新たな鉄を鉄鉱石から作る必要がなく、スクラップ廃材からの再利用で十分ことたりる、ということを意味している。こうした「人工物の飽和」が、今後他のマテリアルでも起こり得る。


■GDPではなくIWI(包括的な豊かさの指標)

2000年頃までの産業化社会を主軸としたGDP至高主義から脱却し、これからの社会では個人のQOLを高めることを推奨し、それは国連が推奨しているという。指標として、IWI(Inclusive Wealth Index)が国連から提唱されているようである。


■人工物の飽和

前述の鉄と同じように、現代はモノが飽和し始めている社会である。代表格として、日本では住宅が既に飽和しており、日本の世帯数約5000万に対し、住宅の総数は既に約6000万個あると言われている。人工物の飽和の流れとしては、道路や橋などの生活インフラ→TVや電化製品→自動車や家などの超高額商品、と満たされていくようで、途上国も今はこの流れに乗り始めている。内閣府の消費動向調査では、各商材の世帯普及率の推移が公開されている。

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■エネルギー消費

世界のエネルギー消費についても触れられている。これは、1995年以降で、実は約50%増加しているそうだ。しかし一方で、GDPあたりの消費エネルギーは30%低下しているという。もちろん、人口増や産業の発展に伴い、純増するエネルギー消費もあるが、大きくは、産業構造の変化と技術向上に依存する。中でも、省エネルギーの技術は進化しており、1995年⇔2015年の20年間の比較では、GDPは78%増加しているがエネルギー消費は50%増加にとどまっている。世界の多消費エネルギー産業の平均では、2000年→2013年で15%低下している。

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